東宝/カラー・東宝スコープ/94分
昭和40年12月19日公開
(同時上映「エレキの若大将」)
(解説)
──196X年、木星の裏側に位置するX星の調査に向かった地球連合宇宙局の富士とグレンは、X星の統制官から猛威をふるう怪物0(キングギドラ)を撃退するため、怪物01(ゴジラ)と02(ラドン)を貸してほしいと依頼される。だが、その見返りにガンの特効薬を提供するというX星人の言葉は偽りだった。彼らはゴジラ、ラドン、キングギドラの3大怪獣を電磁波で操り、地球植民地化計画を実行に移したのだ。富士たちは怪獣コントロールの電磁波を遮断するAサイクル光線と、X星人の弱点である特殊な音響を武器に反撃を開始した!
「地球最大の決戦」で頂点を極めた怪獣映画(ゴジラシリーズ)と「地球防衛軍」「宇宙大戦争」以来の宇宙SF映画の面白さをミックスした、東宝特撮路線の黄金期を代表する一編。
宇宙ロケットP−1号、X星人の円盤、Aサイクル光線車などのミニチュアアークはもちろん、3大怪獣をワンショットに収めたパノラミックな多重合成や、合成と併用で円盤の超常的なスピード感を表現した見事な操演など充実の特撮に加えて本編ドラマも娯楽性十分。グレンと波川の悲恋を通して描かれる、すべてを電子計算機(コンピュータ)に管理されたX星人と自由を求めて戦う地球人の対比、発明マニアの青年のアイデアが人類反撃の切り札となる伏線の妙、統制官に扮した土屋嘉男の怪演と「未来に向かって脱出する!」ほか名台詞の数々──伊福部昭の勇壮な音楽に支えられ、軽妙洒脱な関沢脚本&本多演出のパワーが存分に発揮されている。
高度なテクノロジーを持つX星人は、ゴジラとラドンを反重力の膜で包んで宇宙へ運び去った。アダムスキー型をアレンジした円盤のデザインが秀逸
富士がAサイクル光線の実験をするシーン。見えない電磁波を可視光線で表現するところに、映像の説得力を重視した本多=円谷コンビの演出の神髄がある
ニック・アダムス夫妻を迎えてセットでの記念撮影。後列左は通訳を務めたヘンリー大川。本多監督の右が連合宇宙局の所長・桜井博士を演じた田崎潤
P−1号でX星に降り立った富士(宝田明)とグレン(ニック・アダムス)が見たものは、キングギドラの襲来に脅えて地下都市に潜むX星人の姿だったが……
出演者
宝田明
ニック・アダムス(声=納谷悟朗)
水野久美
田崎潤
土屋嘉男
沢井桂子
久保明
田武謙三
田島義文
桐野洋雄
伊吹徹
鈴木和夫
宇野晃司
千石規子
佐々木孝丸
塩沢とき
松本染升
清水元
村上冬樹
中島春雄
篠原正記
広瀬正一
他
グレン役のニック・アダムス、彼に計算外の恋をしたために処刑されるX星人・波川女史を演じた水野久美と打ち合わせ中の本多監督
X星のコントロール・ルームのセットでの撮影風景