東宝/カラー・東宝スコープ/98分
昭和37年8月11日公開
(同時上映「私と私」)
(解説)
――北極海の氷山で冬眠状態にあったゴジラが再び目覚め、帰巣本能から日本に向かって南下を開始した。同じ頃、スポンサーの命令で「巨大なる魔神」を探しにファロ島を訪れたテレビ局員の桜井と古江は、島民たちに崇められている巨猿キングコングを発見。コマーシャルに出演させるため、眠らせたコングを筏に乗せて日本へ運ぶことにした。
だが、途中で暴れ出したコングは千葉東海岸に上陸。動物の闘争本能から互いに引き合うようにして那須高原でゴジラと相まみえ、さらに双方共倒れを狙う人間たちの思惑もあって2大怪獣は富士山麓で激闘を繰り広げるのだった。
東宝創立30周年記念映画の一本で、日米を代表する怪獣スターが地球を縦断して対決するという奇想天外なストーリーに、視聴率に左右されるテレビ、自然を勝手にコントロールしてしまう人間の傲慢さなど、現代に通じる文明諷刺のテーマも盛り込まれている。
ギャグと伏線を巧みに交錯させたテンポのいい関沢脚本と、精緻なミニチュアワークを駆使した重厚な円谷特撮を、本多監督は登場人物のリアクションを細かく織り込むことでつなぎ合わせ、コメディ感覚の怪獣映画というオンリー・ワンの傑作に仕上げた。
「ゴジラの逆襲」以来7年ぶりの登場となるゴジラと、自ら特撮の手本としたキングコング。円谷英二はどちらも腕によりをかけて演出している
ファロ島のセットで島民役の根岸明美と。日劇ダンシングチーム出身の根岸は「さらばラバウル」「獣人雪男」にも野性味あふれる役柄で出演
ロケ中に崖から転落して重傷を負うアクシデントも。後半は包帯姿で撮影を続行した
ファロ島の崖のセットにてスタッフ、キャストの記念撮影
撮影の合間の笑顔。ゴジラを炎で誘導するため、川にガソリンを流すシーンの準備中だとわかる
出演
高島忠夫
有島一郎
浜美枝
佐原健二
藤木悠
田崎潤
平田昭彦
若林映子
根岸明美
小杉義男
大村千吉
桐野洋雄
堺左千夫
加藤春哉
松村達雄
松本染升
田島義文
沢村いき雄
山本廉
堤康久
田武謙三
ダグラス・フェーン
ハロルド・コンウェイ
オスマン・ユセフ
坂本晴哉
広瀬正一
中島春雄
手塚勝巳
東宝芸能学校生徒
他
円谷特技監督に演出シーンを説明する本多監督。互いに本編、特撮の現場を行き来して打ち合わせしながら撮影したことが絶妙のコンビネーションを生んだ
トップシーンに映る「世界驚異シリーズ」の地球のモデルの位置を調整中
2大怪獣を迎え撃つ自衛隊東部方面総監(田崎潤)と幕僚たちの演出風景
大ダコに襲われるファロ島の村のセットにて