東宝教育映画/モノクロ・スタンダード/20分
昭和24年製作
(解説)
正式タイトルは「日本産業地理大系第一篇 国立公園伊勢志摩」。学校教材などに使われた文化映画で、三重県の観光地、伊勢志摩が国立公園に指定されたことを記念して製作されたもの。
その地形や成り立ちの歴史にはじまり、伊勢神宮の戦前と戦後の位置づけの変化、海女が海産物を採る様子、御木本幸吉が根付かせた真珠の養殖といった地元の風物を紹介している。
なかでも海女の仕事ぶりをとらえた部分では、カメラに防水バルブをかぶせた特殊な機材を開発し、日本初の本格的な水中撮影を敢行して技術的にも高く評価された。日本の記録映画を買い付けに来た海外のバイヤーにも好評だったという。
東宝の文化映画・教育映画は監督候補(助監督)の力量を試す卒業試験のような意味合いがあったというが、本作での心地よい編集のリズム、自然とともに生きる人々の姿をとらえた本多監督の温かな眼差しは後の劇場作品にも受け継がれている。