正式タイトルは「日本産業地理大系第一篇 国立公園伊勢志摩」。学校教材などに使われた記録映画で、本多監督の事実上の演出第一作。 三重県の観光地、伊勢志摩が国立公園に指定されたことを記念して製作され、その地形や成り立ちにはじまり、伊勢神宮の戦前と戦後の位置づけの変化、御木本幸吉が根付かせた真珠の養殖、危険な海にもぐって海産物を採る海女の生活といった地元産業を紹介している。 なかでも海女の仕事ぶりをとらえた部分では、カメラに防水バルブをかぶせた特殊な機材を開発し、日本初の本格的な水中撮影を敢行して技術的にも高く評価された。また、東宝の文化映画・教育映画は監督候補(助監督)の力量を試すテストの意味合いもあったというが、本作での心地よい編集のリズム、自然とともに生きる人々の姿をとらえた本多監督の温かな眼差しは後の劇場作品にも受け継がれている。